【令和5年から変更あり】配当所得の有利な申告方法(所得税と住民税でW節税できる!かも)

税金・保険

下段の内容は、令和4年(2022年)分の申告までとなっています。
税制改正で、令和5年分の所得税の確定申告(令和6年度の住民税)からは、所得税と住民税で別の課税方式を選択できなくなっています。
令和5年分以降、所得税で総合課税を選択した場合は、住民税でも総合課税として申告することになります。また、所得税で申告不要制度を選択すれば、住民税にも申告不要制度が適用されます。

取り急ぎ、総合課税で申告した方が特になる分岐点は、課税所得金額695万円未満!
これを超える方は、申告不要制度をおすすめします。

また、課税所得が695万円以下でも、国民健康保険の方や、扶養控除や配偶者控除の適用を受けている人が配当金を確定申告することで、扶養控除や配偶者控除の適用除外となってしまい、世帯全体でみて負担増となってしまうこともあります。

注意‼
修正申告で課税方式の変更はできません。
所得税の確定申告でいったん課税方式を選択すると、その後修正申告や更正の請求などでの変更はできません。所得税と住民税をあわせてどの課税方式が有利なのかを慎重に検討してから申告しましょう。(期限内に再提出は可能です。)

スポンサーリンク

令和4年(2022年)分までの配当所得のおすすめ申告方法

上場株式等の配当所得について、所得税と住民税は別々の課税方式が選択できるようになっています。
さらに令和3年税制改正により令和3年分以降の確定申告書の第二表に個人住民税に係る申告不要の欄が設けられたため、 この欄に〇をつければ所得税と住民税で異なる課税方式を選択するために市町村に別途住民税の申告書を提出する必要がなくなりました。
(従来は、別途「住民税の申告書」の提出が必要でした。また、「住民税の申告書」は電子申告に未対応のため、原則、紙での提出になっていました。)

では、一番お得になる申告方法を、検討してみましょう。

スポンサーリンク

上場株式等の配当所得の申告方法は?

基本的に、上場株式等の配当所得については、①申告不要(申告しない:源泉徴収のみ)、②総合課税③申告分離課税のいずれかを選択することができます。
そして、所得税の確定申告のみした場合(別途「住民税の申告書」を提出しなかった場合)は、所得税で選んだ課税方式が住民税の計算にも適用されていました。
しかし、所得税とは別に住民税の課税方式を選ぶことにより節税となる場合があります。

有利になる課税方式は?

※復興所得税は含んでいません

どの課税方式の組み合わせが、有利になるか概算で比較してみます。
(計算が複雑になるので、復興所得税は除いて税率を計算しています。)

パターン1

所得税も住民税も①申告不要を選択した場合。
上場株式等の配当所得は、受取り時に既に税率20%(所得税15%、住民税5%)で源泉徴収されているため、申告しない選択もアリです。
上の表から、課税所得が900万円を超える場合は、源泉徴収されたまま、配当所得については「申告しない」のが1番有利になりそうです。(分離課税の場合も同様)

パターン2

所得税も住民税も、②総合課税所得として申告する方法です。
配当所得を総合課税にすると、所得税も住民税も配当控除を受けられるため、実質税率が上記のようになります。
しかし、所得税は累進課税で税率が上がり、住民税も基本の税率(所得割)10%から計算が始まるので、トータルで不利になる場合が多いです。

パターン3

所得税では②総合課税とし、住民税は①申告不要にする、というパターンです。
パターン2で記載したように、所得税では、配当控除を受けられるため、所得が少ない場合は税率が下がる場合が多いです。
そして、住民税については、総合課税にすると、基本の住民税の税率(所得割)10%からの計算となるところを、申告不要にすることで、すでに源泉徴収されている5%で済みます。
上の表から分かるように、課税所得900万円以下の場合は、このパターンが1番有利になります。
そして、今まで「パターン3」を選択する場合、所得税の確定申告書とは別に、住民税申告書の提出が必要だったところが、令和3年分の申告からは、所得税の確定申告書の中(第二表)で、該当欄に〇を付けるだけでよくなりました。

スポンサーリンク

保険料も変わってくるかも

国民健康保険料(介護保険料)、後期高齢保険料を支払っている人は、住民税について所得税と異なる申告をすることで、保険料を下げることができる可能性もあります。

スポンサーリンク

配当所得の住民税申告にあたっての注意

平成29年度から所得税の確定申告書とは別に、市町村に住民税の申告書を提出することにより、所得税とは異なる配当所得の課税方式を住民税で選択できるようになっていました。
さらに令和3年税制改正により、令和3年分以降の確定申告書の第二表(下記参照)「住民税・事業税に関する事項」に「特定配当等・特定株式等譲渡所得の全部の申告不要」欄が設けられました。
この欄に〇をつけて確定申告書を税務署に提出すれば、別途住民税の申告書を提出する必要が令和3年分確定申告からなくなります。住民税を申告不要としたほうが有利な方のこの欄に〇をつけ忘れないように気をつけてください。

※令和3年 確定申告書の手引きより抜粋

また、手引きに注意書きがあるように、株式等の譲渡所得等も含め、一部のみ申告するということはできません。
上場株式等に係る譲渡損失があり、損益通算したい場合や、繰越控除額が残っている場合等は、所得税申告時から、そちらを適用した方が有利になります。

FXしている方の所得税確定申告の具体的な書き方は、こちらの記事も参考にしてくだい。

スポンサーリンク

まとめ

判断の境目は、令和4年までは課税所得900万円令和5年以降は課税所得650万円

令和5年以降

●国民健康保険未加入(社会保険加入)、扶養や配偶者控除等について検討不要な、課税所得650万円未満の場合
 ➡ 所得税確定申告時に総合課税を選択することで、住民税申告も自動で総合課税
所得税(税率20%-配当控除10%)10%+住民税(税率10%-配当控除2.8%)7.2%=17.2%
申告しない場合の税率20%(所得税15%+住民税5%)より低くなる

●上記に当てはまらない場合
 ➡ 申告することで、国民健康保険料算定上の所得が増えたり、扶養控除や配偶者控除の適用除外となってしまい、世帯全体でみて負担増になることが考えられるため、詳細なシミュレーションが必要!

令和4年まで

●課税所得金額が 900万円以下の場合
 ➡ 所得税は総合課税、住民税は申告不要を選択すると有利

●課税所得金額が 900万円超の場合
 ➡ 所得税は申告不要を選択すると有利(住民税は自動的に申告不要)
   所得税は源泉分離課税(住民税は自動的に源泉分離課税)の場合も効果は同じですが、
   国民健康保険(または後期高齢者保健)に加入している場合は注意!

こちらの記事は、国税庁のHPや手引き等を確認のうえ記載していますが、申告に関して責任は持てませんでの、詳しくはご自身でご確認するか、税理士等の専門家へご確認ください。

ちなみに、2022年(令和4年)の私は、扶養範囲内で働いていたため、所得税も住民税も「総合課税」で申告し、配当金から源泉されていた所得税も住民税も取り返しました!

タイトルとURLをコピーしました